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「相続」の問題は、どなたでも直面しうるものであり、ご相談も、相続に関するものが少なくありません。
そうしたご相談の中で、よくあるご質問について、お答えいたします。

Q.遺産分割に、時効などの期間の制限はあるのか?
A.遺産分割とは、相続財産を分割し、分割した財産を各相続人に確定的に帰属させる手続きです。
遺産分割を請求する権利は、時効にかかることもなく、期間の制限はありません。
したがって、法律上は、被相続人が死亡した時から長期間たっていても、遺産分割を行うことはできます。
ただし、時間がたてばたつほど、相続財産にかかわる資料がそろいにくくなり、どういったものが相続財産に含まれるのかを明らかにすることが難しくなっていきます。また、相続人だった人がお亡くなりになると、代がかわり、相続人の数が増え話し合うことが難しくなったりすることも珍しくありません。

ですので、遺産分割は、できるだけ速やかに行うことがのぞましいです。


Q.父が亡くなり、母と兄弟姉妹5人で遺産分割を行うことを考えている。
兄弟姉妹は実は他に2人いるが、ずいぶん前から親戚づきあいはまったくなく、どこで暮らしているかもわからず、行方不明である。死亡しているかもしれない。
このまま遺産分割の協議を行っていくことに問題はないか。

A.まったく付き合いがなく、行方不明と思われる、あるいは死亡していると思われる場合であっても、法定相続人にあたる人であれば、遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。
遺産分割協議は、法定相続人全員の協議によって合意がなされる必要があるからです。
そのため、法定相続人は、被相続人の両親の戸籍まで遡って調査する必要があります。
また、法定相続人が死亡していても、その人に子どもがいる場合は、その子どもが相続人となりますので(代襲相続といいます)、注意が必要です。


Q.亡くなった母は、生前、長男である私に「全財産を相続させる」とよく言っていたし、亡くなる直前も同じように言っていた。このことは、他の兄弟姉妹も全員知っている。遺産分割は、この母の“遺言”どおりになされるべきだと思うが、可能か。
A.「遺言」は、日常用語としては、広く、故人が死後にそなえて遺した言葉などを指します。
故人の遺志を尊重すべき事はそのとおりですので、遺産分割にあたっても、法定相続人同士で、こうした遺志をふまえた話し合いをすることがのぞましいといえます。
しかし、法律上の「遺言」はあくまでも、民法の定める方式に従ったもののみをいい、したがって、遺産分割においても、法定の要件を満たしている遺言だけが、法的な効力を持ちます。
そのため、たとえ亡くなった方が生前何度も言っていたことであっても、法定要件を満たさない場合は、話し合いで行わない限り、“遺言”どおりに遺産分割を行うことは出来ません。
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2015.08.04 Tue l 遺言・相続 l top