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「港湾の作業会社で働いていたところ、積んであった荷物が崩れてきて、けがをしてしまった。」

「夫が突然心筋梗塞で死亡しました。毎日ものすごく残業をさせられていました。仕事が原因なのでは…。」

「たびかさなる上司の嫌がらせでストレスがたまり、体調がおかしくなった。夜も眠れなくなって仕事に行けない。」


 労働者が仕事の上でこうむったけがや病気、障害または死亡を労働災害(労災)といいます。

 けがや病気の治療には、お金や時間がかかりますし、治るまで仕事が出来ない場合もあります。そうした負担はときに大きくのしかかります。また、労災は、死亡事故を招くこともあります。
 労災にあわれた方やご遺族としては、使用者に対して、こうした負担の解消や原因の究明、きちんとした補償を求めたいと考えるのは当然のことです。

 労災の被害にあった場合、労働者やその遺族は、労災保険による補償を受けることができるほか、使用者に対して損害賠償を請求できる場合があります。
 以下、基本的なことがらです。



【労災保険による補償】

 労災の被害にあった労働者や遺族は、まず、労災保険による補償の給付を受けることができます。
 補償の給付を受けるためには、補償給付の請求書を労働基準監督署に提出し、業務上のけがや病気、障害又は死亡であると認められる必要があります。

 業務上の事故であるかどうかは、「業務遂行性(ぎょうむすいこうせい)」と「業務起因性(ぎょうむきいんせい)」という2つの要件によって判断されます。
 これは、「仕事中に仕事が原因で発生した事故」かどうかということです。
 これらの要件があることがはっきりしている労災事故の場合は特に問題がありませんが、たとえば腰痛や過労死などの場合には、業務起因性(仕事が原因で発生したといえるか)が否定され、労災補償が不支給となることもあります。

 労災の申請が却下された場合には、不服申立て(審査請求)を行うことができます。また、審査の決定に不服があるときには、あらためて不服申立て(再審査請求)を行うことができます。さらに、再審査の結果に不服があるときには、裁判所に対して訴訟を起こすことになります。

 このような不服手続きには期間の制限があり、また必要な証拠書類の準備が必要となりますので、お困りの場合には、お早めに弁護士にご相談ください。


【使用者に対する損害賠償請求】

 労災保険の保険給付は、
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・遺族補償給付
・葬祭料
・傷病補償年金
に限られ、労災から生じた損害がすべて支払われるわけではありません。たとえば、休業補償は賃金の8割のみの支給ですし、いしゃ料が支払われることもありません。

 このような損害については、労働災害が使用者の故意・過失によって発生した場合にかぎり、直接、使用者に請求することができます。
 したがって、たとえば、
・労働者の安全や健康に対して配慮をしなかったことが原因で災害が発生した。
・工場の機械・設備・器具等の欠陥によって事故が起きた。
といった場合には、労災保険をこえる部分については、使用者に請求することができます。

 使用者に対して損害賠償請求を行う方法としては、一般的には、まずは話し合いによる解決(任意交渉)を目指すことになります。話し合いがつかない場合には、裁判所における民事調停や訴訟を利用することになります。


 労災の申請や使用者に対する請求において、弁護士は、書面や資料集め、また交渉や裁判手続の代理人として、サポートいたします。ぜひご相談ください。


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2014.04.14 Mon l 労災 l top